シンガーソングライターとして注目を集めている「こっちのけんと」さん。俳優・菅田将暉さんの弟としても知られていますが、彼自身もまた独自のキャリアと才能で多くのファンを魅了しています。今回は、そんなこっちのけんとさんの大学・学歴にフォーカスを当て、どのような学生時代を送り、どのように音楽の道へ進んでいったのかを詳しく解説します。
駒澤大学経済学部に進学した理由と背景
こっちのけんとさんは、大阪府の私立・箕面自由学園高等学校を卒業した後、東京都世田谷区にキャンパスを構える駒澤大学経済学部に進学しました。駒澤大学は仏教系の伝統ある私立大学であり、経済学部は比較的穏やかな学風と実務的なカリキュラムで知られています。こっちのけんとさんは、第一志望ではなかったと自身で明かしていますが、それでも自ら選んだ道として大学生活にしっかりと取り組み、結果として後の音楽活動に繋がる経験を多く積むことになりました。
また、彼の家族構成も進学の決断に影響を与えた可能性があります。兄である菅田将暉さんはすでに俳優として注目されており、家庭内では比較的自由な雰囲気がある一方で、父親である菅生新さんは経営コンサルタントというしっかりしたキャリア志向の人物です。そうした中で、こっちのけんとさんが「理想の息子」や「模範的な弟」を目指すような意識を持っていたことも想像に難くありません。大学進学という道は、彼にとっては自分自身の立ち位置を見つけるための第一歩でもあったのです。
アカペラサークル「鳴声刺心」と音楽グループ「ケミカルテット」
大学生活の中で、こっちのけんとさんが本格的に音楽と向き合うきっかけとなったのが、アカペラサークル「鳴声刺心（めいせいししん）」への参加です。駒澤大学のアカペラサークルの中でも精力的な活動を展開しているこのサークルで、彼は仲間たちと共に音楽の楽しさを深く知ることになります。2015年には、サークル内で知り合ったメンバーとともにアカペラグループ「ケミカルテット」を結成。男女4人から成るこのグループは、学生アカペラ界で徐々に頭角を現していきます。
特に注目すべきは、大学アカペラの全国大会「A cappella Spirits」において、2017年と2018年に2年連続で優勝という快挙を成し遂げた点です。ケミカルテットは、その実力と個性の強さでアマチュアアカペラ界において圧倒的な支持を受けました。この頃からすでに、こっちのけんとさんの音楽的な才能は広く認識されはじめていたのです。
サークル活動の中で出会った仲間たちは、彼の人生にとっても非常に大きな存在となりました。特に、のちに結婚相手となる「ぶる」さんともこの時期に出会っており、彼女との関係が公私ともにこっちのけんとさんを支え続ける存在となっていきます。大学時代は単なる学問の場ではなく、人生の価値観を育てる重要な時間であったことがうかがえます。
就職とメンタルの葛藤、音楽への転身
大学卒業後のこっちのけんとさんは、音楽の道にすぐ進んだわけではありません。2019年に駒澤大学を卒業した後、彼は都内の上場企業に就職します。その会社は経営コンサルティングを手がけており、父・菅生新さんと似た業界だったことから、家庭の影響も感じさせる選択でした。しかし、その道は彼にとって決して安易なものではなく、内面的な葛藤を抱えながらの社会人生活が始まりました。
入社後、こっちのけんとさんは双極性障害（そううつ病）を発症し、メンタルヘルスの不調と向き合うことになります。多くの新卒社員が抱えるストレスとは異なり、彼の場合は「家族の知名度」「理想の弟像」という独特の重圧も影響していたのではないかと推察されます。その結果、就職してからわずか数年で会社を退職。自分自身の生き方と本当に向き合う時期に差しかかりました。
この精神的な転機が、彼にとって音楽へと本格的に踏み出すきっかけとなります。それまでアマチュアだった音楽活動を自らの表現手段として再評価し、自分の心に正直に生きる道としてプロの音楽家への転身を決意しました。この決断は簡単なものではなかったものの、こっちのけんとさんの才能と努力が少しずつ実を結び始め、彼の存在は次第に音楽業界内外で注目されていくことになります。
音楽家としての開花と現在の活動
退職後、こっちのけんとさんはアーティストとしての活動を本格化させました。最初の大きな転機は、2019年のNHK紅白歌合戦で、RADWIMPSのバックコーラスとして出演したことです。この出演により、全国的な注目を集めた彼は、以降も楽曲制作やライブ活動を通じてその才能を発揮していきます。彼の楽曲は、人間の内面や葛藤をリアルに描く歌詞と、透明感のある歌声が特徴で、多くの若者から共感を集めています。
また、SNSやYouTubeなどのオンラインプラットフォームを活用し、自分の音楽や日常を積極的に発信。恋人であり、のちに結婚した「ぶる」さんとの動画もファンの間で話題になり、親しみやすいキャラクターとしての人気も確立しました。2024年には、こっちのけんとさん自身が紅白歌合戦にソロアーティストとして出演。自身の苦悩と再生の物語を音楽で表現する姿に、多くの人が感動を覚えました。
音楽だけでなく、自身の経験を活かしてメンタルヘルスや多様な生き方について発信する姿勢も、多くの支持を集めています。兄・菅田将暉さんとはまったく異なるルートで、こっちのけんとさんは「こっちの道」を自ら切り開いたのです。
まとめ
こっちのけんとさんの学歴と大学時代の歩みは、彼の人生と音楽活動において非常に重要な土台となっています。駒澤大学でのアカペラ活動を通じて音楽の喜びと仲間の大切さを知り、社会人としての経験と葛藤を経て、音楽家として再出発した彼のストーリーは、多くの人々にとって勇気と希望を与えるものです。学歴そのものよりも、大学時代に何を感じ、どう成長したかが、こっちのけんとさんの現在の姿につながっています。今後のさらなる活躍にも期待が高まります。
