2025年の全仏オープンにおいて突如として注目を集めた若きフランス人選手、ロイス・ボワソンさん。怪我からの復帰戦でトップシード選手たちを次々と破り、ワイルドカード出場ながら準決勝に進出するという快挙を成し遂げました。これまでWTAツアーでもさほど名が知られていなかった彼女の名は、今や世界中のテニスファンに広まりつつあります。プレーだけでなく、その個性的なキャラクターやユーモアに富んだ発信も話題を呼び、次世代スターとしての期待が高まっています。本記事では、そんなロイス・ボワソンさんのプロフィールとこれまでの歩み、2025年全仏オープンでの活躍、そして今後の展望について詳しくご紹介します。
ロイス・ボワソンの基本プロフィール
ロイス・ボワソンさんは2003年5月16日、フランスのディジョンで生まれました。現在22歳（2025年時点）の彼女は、フランスの伝統あるクレーコート文化の中で育ち、右利きでプレーするスタイルを確立しています。身長や体格などの公式情報はまだ多く出回っていないものの、映像などからはスリムで俊敏な動きと、フットワークを活かしたクレーでの持久戦が得意な印象を受けます。プレースタイルは比較的オールラウンドで、粘り強くラリーを繋ぎつつ、時折見せるドロップショットやバックハンドの切れ味が特徴です。
これまでの最高WTAランキングは、2024年5月6日時点で記録したシングルス152位。その後は怪我によりランキングを大きく落とすも、2025年の全仏オープンでの大躍進により、一気にトップ100入り目前となるなど、急激な浮上を見せています。これまでの賞金総額は14万8000ドルあまりですが、この活躍によって大幅な増加が見込まれています。2024年にはWTA125のサン・マロ大会で優勝しており、これが初の主要タイトルとなっています。
プロテニス選手としての歩みと挫折
ロイス・ボワソンさんがプロとしてWTAツアーに本格参戦したのは、2021年頃とされています。当初はITF大会を主戦場とし、小さな大会で実績を積みながら、徐々にランキングを上げていきました。彼女のキャリアにとって転機となったのは、2024年のサン・マロWTA125大会での優勝です。この大会では安定したプレーと精神力を発揮し、将来性を感じさせる堂々たる優勝を果たしました。
しかしその直後、彼女は大きな試練に直面します。2024年の全仏オープン出場を目前に控えた時期、前十字靭帯（ACL）を負傷してしまい、大会出場を断念せざるを得なくなったのです。この怪我は、テニス選手にとって非常に深刻なものであり、多くの選手が長期離脱やキャリアの中断を余儀なくされます。ボワソンさんもまた、半年以上のリハビリと再調整を要しました。しかし、ここで彼女は諦めることなく、地道にトレーニングを重ねて復帰を目指しました。
2025年、怪我から復帰した彼女は、かつてのランキングを大きく下回る状態ながらも、主催者推薦（ワイルドカード）により全仏オープン本戦への出場を果たすことになります。そして、この選手生命の分かれ道とも言える舞台で、彼女は再び脚光を浴びることとなりました。
2025年全仏オープンでの歴史的快進撃
2025年の全仏オープンでは、ロイス・ボワソンさんがまさに「地元の星」としてセンセーショナルな躍進を遂げました。ワイルドカード出場という立場でありながら、彼女は初戦から強豪選手を次々と撃破。3回戦では実力者との接戦を制し、4回戦では第3シードであるアメリカのジェシカ・ペグラ選手と対戦。1セット目を落とすも、見事な粘りと戦術の修正で逆転勝利を収めました。この時点で観客は彼女の名を口々にし、ローラン・ギャロスの空気が一変したのです。
準々決勝では、今最も注目される若手のひとりであるミラ・アンドレーワ選手と対戦。ここでも彼女は冷静なプレーを展開し、タイブレークを含む激戦を制してストレート勝ちをおさめました。この勝利により、ボワソンさんはワイルドカード選手として史上初の全仏オープン準決勝進出という快挙を達成しました。これはまさに歴史的瞬間であり、会場のスタンディングオベーションが彼女の努力と才能を称えるものであったことは言うまでもありません。
彼女のこの活躍により、WTAランキングは一気に68位前後まで上昇する見込みであり、今後のツアー出場にも大きな追い風となります。準決勝では、第2シードのココ・ガウフ選手との対戦が予定されており、その結果次第では更なる記録更新が期待されます。
コート外でも話題を呼ぶユーモアと気配り
ロイス・ボワソンさんが注目されているのは、コート上のプレーだけではありません。2025年4月には、全仏オープン前哨戦で対戦相手だったハリエット・ダート選手から、試合中に「デオドラントを使って」との暴言を浴びせられるという出来事がありました。この発言は多くの人々から非難を受け、問題視されましたが、ボワソンさんはこの出来事に対して感情的になることなく、むしろユーモアで応じました。
彼女は自身のInstagramに、制汗剤ブランド「Dove」のスプレーを持った自らの画像を合成し、「Doveとのコラボが必要かしら？」とコメントを添えて投稿。この投稿はたちまちSNS上で話題となり、多くのファンや著名人が彼女の対応を称賛しました。こうした行動からは、精神的な余裕や、周囲に与えるポジティブな影響力の強さがうかがえます。
現在、彼女のInstagram（@loisboisson）には約6万人のフォロワーがおり、今後の活躍次第ではその数は急増する可能性があります。投稿内容も親しみやすく、時に飾らない素顔や、家族や友人とのひとときを見せるなど、ファンとの距離感が近いことも魅力の一つです。
今後の展望と期待される未来
ロイス・ボワソンさんのこれからのキャリアには、多くの可能性が広がっています。2025年の全仏オープンでの快進撃により、一躍世界の注目選手の仲間入りを果たした彼女ですが、それはあくまで通過点にすぎません。今後、グランドスラムをはじめとする主要ツアーへの本格的な参戦が期待され、安定したランキング上昇がカギとなります。
また、彼女が持つ独自のキャラクターやSNSでの発信力は、競技面以外の価値も高めています。ブランドとのコラボレーションや社会貢献活動など、今後の露出の幅はさらに広がるでしょう。フランス国内では、アリゼ・コルネさんやクリスティナ・ムラデノビッチさんに続く次世代の顔として、特にメディアやスポンサーからの関心が高まっています。
一方で、怪我の再発防止や、ツアーでの過密スケジュールへの適応も大きな課題です。2024年のような長期離脱を避けるため、今後はトレーニングと休養のバランスが問われることになるでしょう。これまでの彼女の努力と芯の強さを思えば、それらを乗り越えてさらに高みを目指すことは十分に可能です。
まとめ
ロイス・ボワソンさんは、単なるサプライズプレーヤーではありません。長年の努力と試練を乗り越えて、2025年の全仏オープンで才能を開花させた彼女は、今まさにフランス女子テニスの希望の星として世界の舞台に立っています。繊細な戦術、冷静な判断力、そしてユーモアを忘れない人間性——それらすべてが彼女の魅力であり、今後の躍進を後押ししていくことでしょう。
この先、さらなる栄光を手にするのか、それとも新たな試練が待ち受けるのか。いずれにせよ、ロイス・ボワソンさんの存在は今後の女子テニス界において、欠かすことのできない注目の的となることは間違いありません。ファンとしては、その一歩一歩を見守り、応援していきたいものです。
